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【書評】育児イラストブロガーのひーたむさんの「あのね、わたしがねちゃってても、あとででいいからだっこして」を読んでみた

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今回ご紹介するのは育児の様子を漫画にして描いているひーたむさんの「あのね、わたしがねちゃってても、あとででいいからだっこして」(以下、「あのね」)だ。


はてなブログの新着エントリーなどをチェックしていると「育児」というカテゴリにあまり接点がなくてもチラホラ目に入ってくる。
その中で水彩風の柔らかい絵柄で「どうやら育児漫画かな?」と思っていた。
先日ふと思い立ってブログ上で見れる分をチェックしていたのだが、個人的に何より驚いたのがコンスタントに多くのはてブが付いているという事実。

多くの人からの共感、反応の具体的な数値とも言えるはてなブックマーク数を見て、これは書籍化された「あのね」を読む価値はあるのでは?と思って読んでみた。

ひーたむって誰

「リンゴ日和。」上で家族の周りの出来事を描いたブログをやっている人。
登場人物は主に4人。

「私」ことブログ主のひーたむ…インドア派
その夫…優しいパパリーマン
長女ゆー(2016年7月で6歳)…おしゃまで繊細にして抱っこ大好き
次女ふー(2016年7月で2歳)…わんぱくでやんちゃ、得意技は頭突き

とのこと。

「よくある育児漫画エッセイっしょ?」というイメージを持っている人もいるかと思う。
確かにそうだが視点を変えてみると色々凄いコンテンツでもあることが分かった。

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結論 「マジョリティーに受けるコンテンツ」とは何かというヒントを得られる

起承転結があり、漫画として笑ってしまったり続きが気になる、ということはあまりない。
基本的に1話完結というか1コマか2コマで一つのエピソードなどが文章と共に描かれる。

それだけならせいぜいツイッターで拡散して終わりとかもあり得たと思う。
しかしブログ上で人気を集めていたこともあってこの本になった、という背景がポイントなのである。

ブログやってる身としてはためになった一冊

たぶん、ひーたむという人は意識せずに

・多くの人に受ける絵柄(クセがない)

・多くの人にとって共感を受けやすいテーマ(マイナーすぎない)

・オリジナリティ、手軽さ、広めやすさが非常に高いコンテンツ(1コマ漫画というスタイル)

をやってのけている。
一言でいうと少し上の言葉に戻る。

「マジョリティーに受けるコンテンツ」によって書籍化された本なのだ。

極端な例かもしれないが
「アニメのスタンプ」と「母親が送ってくるようなスタンプ」の絵柄には違いがある。
そしてより多くの人間に届いて反応が返ってくるとしたらそれは後者だろう。
前者を強く好む層は多いかもしれないが、後者を強く拒絶する人は非常に少ない。

ここを突破できれば「あ、ふーん」で終わるところを「ちょっと見てみよう」にすることができる。
育児というテーマは非常に万人にとって関わりのあるジャンルだ。
全く接点の人間が少なく済むジャンルである上、「実際に出産・育児経験をした層」という非常に強く共感してもらえる層がいるのはデカい。
ここを間違えてクセのない絵柄で「街中のマンホール観察記」とかやってもせいぜい一発屋で終わりだ。

1コマ漫画だから一瞬で味わえるという手軽さも非常に協力だ。
一番の武器が画像としてツイッター、facebook、instagramなどでそのまま使えることを意味している。
雑記ブログ等で凄まじく面白い文章を書けても「読まないと分からない」のに対し非常にメディアとの相性がいい。
さらに絵柄は「あーあの漫画描いてる人ね!」という風にブログ主、作者の個性に直結してくれる。
そしてそんなコンテンツであれば「気恥ずかしさ」もなく人にオススメしやすいので拡散が期待できる。

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ひーたむさんの真摯さが伝わる1冊でもある

コミックエッセイは自分の経験を元して描いているものだ。
小さい息子や娘が言ったりやったりしたことを元にしているはずだ。

ひーたむさんは多分めちゃくちゃ、本当に超超超二人の娘をよく見ているのだと思う。
まだまだ言葉がうまく伝えられず、やりたいことと言っていることがバラバラな小さな娘たち。
そんな時にひーたむさんは本当に何がしたいのか、何をしてもらいたいのかを読み取ろうという真摯な気持ちでいるであろうことが伝わってくる。
そしてそういったエピソードをシンプルで水彩が鮮やかな1枚のイラストとして完成しているのだ。


というわけでブログ、小説、記事でも漫画や音楽、芸術といった創作でも共通するのはターゲットが人間だということ。
書籍化しないかという誘いが向こうからやってくる水準のコンテンツを作り上げた、という意味でも勉強になるはずの本である。

というわけでなかなか受けない、評価されない、注目されないというような人には非常にオススメの1冊である。