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娯楽とライフハックのデータベース

【厳選】おすすめのグルメ・料理・食がテーマの面白い小説を紹介する。

小説 おすすめの本

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今回は「食」というテーマ、あるいは要素を大きく扱った小説をご紹介します。


どんな内容の小説にせよ、自分と接点のある部分が扱われた小説を読むのはなんだか楽しく、親近感も感じたりしますよね。
というわけでグルメな登場人物が登場したり、とある料理が物語の根幹にかかわっていたり、食べ物の描写にこだわっていたり、そんな中からおすすめの料理小説をまとめました。

八朔の雪―みをつくし料理

時代小説の形を取っていますが、同時にとても素晴らし料理小説となっています。
食をテーマにするときに、各地の特色というものは切り離せないのですがそれを嫌みなく描くのは実は大変で、池波正太郎先生ですら、時に鼻をつく表現があったりします。
その点、本作は特に上方出身の主人公が江戸に出てきて、その食文化のギャップに会うという設定となっており、東西の違いを嫌みなくうまく表現できていると思います。
主人公の作る料理と同じく、作者のきめ細かな心遣いが感じられ、好感がもてる作品です。巻末のレシピも掲載されているところもうれしい点です。

和菓子のアン

デパ地下の和菓子屋さんで働きはじめたぽっちゃり女子が、周りの人に愛され鍛えられながら、一流の接客員として成長していくお話です。
一話ごとに挟み込まれている小さなミステリーも面白いのですが、それよりも心動かされるのが、説で紹介される和菓子の数々。
まるで目の前に見えるような的確な彩り表現と、口の中で味わっているようにも感じる味覚表現には、読んでいてヨダレが出てきそうでした。
とくに上生菓子の描き方が見事で、美味しそうな記述の数々にはすぐに買いに走りたくなるほどです。
和菓子を食べながら読むと魅力が倍増しそうな、そんな小説です。

納豆の茶漬け 北大路魯山人

北大路魯山人について、初めて知ったのは、「美味しんぼ」という漫画を通してです。
主人公の山岡の父親のモデルが、実在の陶芸家である北大路魯山人と知ってとても興味を持ち、それから著書を探して読んでいます。
昭和初期の作品であるにかかわらず、文体はとても読みやすいです。
いくつかある魯山人の作品の中でも、本作が良いと思うのは納豆というとても安価な食材について、いかにしておいしく食べるかを大まじめに説いているからです。
そして本作で推奨している調理方法が誰でも実践できるというのも良い点だと思います。

ヤッさん

主人公のヤッさんは、ホームレスなのになぜか築地市場や銀座の一流料理店に顔が利く、謎の男性です。
しかも全然ホームレスっぽくなく、むしろ一昔前の男気を感じさせるキャラで、それだけでも惹かれるものがあります。
出てくる料理はもちろんどれも美味しそうですし、それ以上に人情に溢れているというか、事件も起こるけれど最後はほっとなごむ結末が用意されていて、エンタメ性も抜群です。
ヤッさんがなぜホームレスになったのかなど、謎解き要素もあって最後まで飽きさせません。

タルト・タタンの夢

小さなフランス料理のお店が舞台のミステリーです。
短編集なので読みやすく、そしてフランス料理なのでどこかおしゃれな雰囲気も楽しめます。
名前だけではどんな料理かわからないものもありますが、調理法が説明されているものも多く、フランス料理ってこんな風に作るのか、と興味をそそられます。
もちろん謎解きの要素も毎回飽きさせることなく手が込んでおり、シェフを始めとする登場人物のキャラクターが魅力的なので、どんどん続きを読みたくなります。

ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが

料理を通じて人と人との関係が改善していく、そんな優しいストーリーです。
作中にはいろいろな料理が出でくるのですが、どれも料理の工程の説明やちょっとした隠し味も出て来るので今度作ってみようかなという気分にさせてくれます。
難しい描写もあまりないのでストーリーはスッと頭に入ってきますし、料理に関しては想像力が引き立てられ食欲が湧いてきます。
たくさんの人が料理によって救われていく過程はとても読み心地がよく、読後は何とも言えない幸福感を味わえる一冊です。

キャベツ炒めに捧ぐ

小さなお惣菜屋さん「ここ屋」に勤める、60代の女性たち3人の悩みや恋愛模様が描かれた作品です。
出てくるお惣菜が肉じゃがやロールキャベツなどお馴染みのものばかりなのに、その描写がとても美味しそうで、こんなお店が近くにあったら毎日通うのに!という気になります。
3人の女性たちにはそれぞれ悲しい過去や悩みがあるけれど、美味しい料理を作って食べて楽しく暮らす様子を読むと、なんだかこちらまで元気が出てくるような小説です。

面白南極料理人

この本を読んで初めて、南極越冬隊には様々な職種の人間が集まってきていることを知りました。
そしてたくさんのスタッフがいる以上、もちろんシェフならぬ料理担当スタッフがいるということも。
それにしても、南極の食事情って結構贅沢なんですよね。
限られた食材しかなく、毎日カレーばかり食べているようなイメージでしたが、かなり豊富な食材をもとに、ありとあらゆるグルメを楽しむことができることを知りました。
豪華な食材を使ったフレンチにイタリアンに和食など、ふんだんにご馳走をこしらえて、南極の料理人は工夫をしながら調理を楽しんでいました。
それを味覚よりも酒が好きな、やんちゃなオジサンたちがワイワイガヤガヤと食べるシーンには、心がなごみます。

食堂かたつむり

穏やかな空気感の、料理と心と命を語る作品です。
主人公の倫子は恋人に裏切られましたが、そのために自分の中に閉じ篭るようなことはなく、むしろ前向きに食堂を始めました。
自分も辛い思いをしたにも関わらず、来てくれるお客さんのことを真摯に考えその人のための料理を作るというところに、倫子の人としての魅力を感じました。
出てくる料理もどれも美味しそうですが、やはりそこに伴うプロセスや客とのやり取りに感銘を受けます。
豚のエルメスや鳩を調理する場面を切り取っても、倫子の傍にはいつも料理があり、料理が原動力であるということに気付かされます。
いつもは普通にしていた食事が、本来はこんなにも深い意味を持ったものだったのかと見方を改めるきっかけになりました。

ランチのアッコちゃん柚木麻子

ランチの取り替えっこという突拍子もない提案をするアッコさん、NOと言えない性格の三智子。
最初は嫌々だったけど途中から三智子がだんだんポジティブになり、アッコさんの真意を知ることになり感動しました。
アッコちゃんのような上司がいたらきっと幸せなんだろうなと思います。
アッコちゃんの言うとおりにするだけでみるみる変わっていく主人公がうらやましくなるほどアッコちゃんがさり気なく後輩を育てていく展開が素晴らしいです。
自分も育てられている気分になって読んで終わったあとは、元気がでます。

菊亭八百善の人びと

京料理というのはよく耳にしますが、江戸料理というのは現代ではあまり聞かない言葉です。
しかし、江戸時代に将軍のお膝元で発展した江戸の料理が存在し、それを継承していたのが「菊亭八百善」でした。
京料理は薄味が基本ですが、江戸の本膳料理はこってりした甘い卵焼きや、味が濃い煮物が特徴です。
また、京都はすぐに食べきれる小型の魚を素材として使いますが、江戸湾を前に控えた江戸は鰹などの大ぶりの魚が好まれました。
本流を受け継ぐ店としての誇りと、時流に取り残されていく様子が克明に描かれており、とあるシーンは読んでいてもとてもつらいものがありました。

クッキングママの事件簿

個人でケータリングサービス業をしているシングルマザーの主人公が子育て、仕事に奮闘しながら殺人事件解決にも大活躍するストーリー。
シリーズものになっており、毎作主人公がケータリングしたメニューとレシピが何通りか載っており、どれも本当においしそうで自分でも作りたくなります。
グルメあり推理あり恋愛ありと、いろいろと楽しめる内容になっていますが、それだけでなく登場人物たちが背負った心の傷を徐々に回復していく過程も描かれており深い内容となってるところがおすすめです。

それからはスープのことばかり考えて暮らした

主人公の映画好きで失業中の男性オーリィがサンドイッチ店の美味しいサンドイッチに心奪われて、毎日通いつめます。
そこには、店主と店主の息子が暮らしており、二人との交流が描かれます。
主人公の人とのふれあいやまた、恋について書いた人の暖かさにあふれる作品です。
題名の通り主人公はスープを提案することになるのですが、その過程がまた良く描かれます。
主人公が人とのふれあいのなかでどんなスープを考えるのか、心温まる作品です。

かもめ食堂

フィンランドのヘルシンキで食堂をやることになったさちえさんにその食堂をひょんなことから手伝うようになった女性2人。
女性3人のそれぞれの事情&過去がある中、かもめ食堂とういう日本から遠く離れた場所で働いていくストーリがとてもホッコリして気持ちが癒されました。
自分もかもめ食堂で働きたい気持ちになるほどに、おにぎりにこだわる食堂を営みかもめ食堂という舞台は温かく、ほのぼのとした物語が展開していきます。
素敵な空気感に包まれた作品です。

彼女のこんだて帖

今やコンビニやスーパーで済ませられる食事ですが、料理を作ることがどれだけ大事か、そこには大切な人への想いがある、そんな風に思わせてくれました。
なんだかじわっと込み上げてくるものがある物語です。

あまからカルテット

女子校からの仲良し四人組が、アラサーになり、恋や仕事それぞれに押し寄せる悩みを、時にしっかりと介入して励まし、あるいは距離を置いて本人の頑張りを見守ったりと、友情で支え合いながら問題を解決していく物語となっています。
軽快で爽やかに話は進み、読後感が非常に良いです。
各ストーリーに、美味しい食べ物が鍵となって登場するのですが、鋭い味覚を武器に謎を解いていくという、謎解き要素があるのも面白いところです。
始まりは四人組の一人のピアノ講師の咲子が、名前も連絡先も聞かずに別れた気になる男性を、その彼が作ったお稲荷さんの味を頼りに探そうという案件からスタートします。
シンデレラのガラスの靴ならぬ、黄金色のお稲荷さん状態です。
序盤からとても心を掴まれる展開なのです。
そして、登場する料理のチョイスと美味しそうな描写に、胃袋まで掴まれてしまいます。

東京近江寮食堂

10年前に失踪した夫を探し上京しそこでひょんな事から東京近江寮に寝泊りしながら夫を探すことに。
そんな食堂で料理を作ったり食べたりしながら人々と触れ合い、自分を見つめ直していく。
心がほっこりするストーリです、登場する料理がなんとも美味しそう。
とにかく食べることの大切さがすごく伝わってきます。
谷中にある近江寮で美味しいごはんを作りながら、食べること、生きること、進むこと、食堂に来るいろいろな人と触れ合いながら人生とは何かを考えさせられました。

最後の晩餐の作り方

美食家で自信過剰な主人公が料理の薀蓄やレシピを垂れ流しながら旅をするお話です。
終始主人公の独白で、ほとんど自慢と薀蓄で埋め尽くされています。
あまりの薀蓄の量もあってすごく読みやすい、とは言えませんが、語り手の過去話や豊富な知識、おいしそうなレシピの数々に飲み込まれていくうちにほんのりとサスペンスが香ってくる、そんな不思議な小説です。
旅は英国~プロヴァンヌあたりで、その地方の料理はもちろん歴史などの雑学もこれでもかと盛り込まれているので、その方面に興味のある方は読んでいて楽しいです。
シンプルな料理小説に飽きてちょっと変わったものを読みたい人にはすごくお勧めできます。

あとがき

いかがだったでしょうか。
料理という普遍的なテーマが作者の個性やこだわりによって何層もの深みが生まれ、味を想像しながら読むなど、料理小説はならではの味わいがありますね。